冷蔵庫の消費電力測定方法は知る限り、2度変更されているようです。→さらに2006年4月にも変更が行われました。 また、『 15/50回開閉の場合、8/35回開閉に比べて消費電力が6%増える場合もある』 という記述も見受けられます。
時期 | 名前 | 周囲温度 | 周囲湿度 | 扉開閉 | 設定温度 | 単位 | 備考 |
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1993年まで | JIS A法 | 30度(100日), 15度(265日) | 75±5% | 冷蔵室50回/1日, 冷凍室15回/1日 | 3±0.5度, -18±0.5度 | kWh/月 | |
1993年〜 | JIS B法(JIS C9607) | 25度 | 45〜85% | 開閉なし | 5度以下, -18度以下 | kWh/月 | A法に比較して30〜40%表示が大きくなることがある (UR-F132「お取扱いのしおり」) |
1999年3月以降 | JIS C法(JIS C9801) | 25度 | 70±5% | 冷蔵室25回/1日, 冷凍室8回/1日 | 5度以下, -18度以下 | kWh/年 | |
2006年4月以降 | JIS C法(JIS C9801) 2006年版 | 30度(180日)及び15度(185日) | 30度時:70±5%, 15度時:55±5% | 冷蔵室35回/1日, 冷凍室8回/1日 | 4度以下, -18度以下 | kWh/年 |
消費電力を考えるとき、大きく分けて2つの側面があるのではないか。「保温力(断熱技術により変化)」と「冷却効率」である。もしA→Bで消費電力が増加するとすれば、それは周囲温度による影響が扉開閉によるものより大きい(当時)ということになると思われる。湿度はあまり影響を与えないのではないか。重大な影響をもたらすならば詳細に規定されているべきであるし、B法測定時にB法の方が湿度の設定可能範囲が広いので、消費電力が最適になるような湿度で測定し、その結果消費電力測定値が増加しないように出来そうだからである。
B→Cでは消費電力が増加する要素しかみあたらない。前段落で「扉開閉はあまり重要ではない」という予想を書いたが、これは当時のことで、現在は断熱技術を向上させることで消費電力を減らしていると感じられるので「扉開閉」回数による消費電力の変化は以前よりも重要性を増しているという推測は可能である。
メーカースペックの冷蔵庫の消費電力がここ数年で下がってきたが、その一方で、新聞等では 実消費電力とカタログスペックの乖離がにわかに注目されるようになった。これらに影響されたかは、 定かではないものの、2006年4月に消費電力の測定法が再び変更された。 この結果、例えば某社製の小型冷蔵庫の カタログスペック上の消費電力は300kWh/年から450kWh/年となった。他のメーカーも小型冷蔵庫に関しては ほぼ同様の率でカタログスペック上の消費電力が増加している。
以下は感想:結果的には、めぐりめぐって大昔のJIS A法にかなり近い測定方法となった。 測定方法を数年おきで変更する必要性は疑問に感じる。そもそも、私は、消費電力の測定法というものは 消費者が実際の使用パターンに基づくべきだと考えている。しかしながら、ここ15年ほどで、消費者の 冷蔵庫の使用パターンはそれほど劇的に変わったのだろうか?私の実感としては、そうではない。 測定法の根拠について、ぜひ知りたいと思うのだが、これまで根拠についての情報というのは 報じられたことがなく、ぜひとも知りたいと思うところである。